昔、日本の一部地域(大阪や兵庫)で、もともと水道水に比較的高濃度のフッ素が入っていたことがあります。それを飲んで育った子供の永久歯が黒ずんだ歯(斑状歯)になってしまい、自治体へ損害賠償を請求する訴訟になりました。

 他にも、高度成長期の日本では、有機水銀中毒やカドニウム中毒など、現在の中国と同様に、鉱物中毒事件を経験しました。

 だからこそ、日本の水道水は厳しい基準で供給されるので安全なのです。水道水を飲んでいる限り、フッ素の過剰摂取による斑状歯はありません。日本人は飲み水に混ぜ物をするのを嫌います。面倒な論争の火種になることを恐れて、フッ素を意図的に混入して虫歯予防にするという自治体はありません。

 まず結論から言います。

フッ素の害については議論しつくされていて、日本国内で、普通の生活をしているかぎり神経障害を起こす濃度のフッ素を摂取することはありません。

 水道水へのフッ素添加を推進する派とそうでない派の2つで論争があった時代もありました。

 反対派の理由は、2つ。

  1. フッ素の取り過ぎによる害
  2. ドル箱のDQN層の子供の虫歯が減る
ことです。今でも、日和見的にこの論争を蒸し返す人たちがいるようです。
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この二十年で、知的水準の高い高所得者層の子供の虫歯はなくなりました。


 虫歯の予防方法を知らない(教えてもらっていないし、知っていても放置して実行していない)情報弱者層、低所得者?層、いわゆるDQN層の(ネグレクトされているのと同様の)子供の虫歯治療で、稼がせてもらっているというのが現状です。もし、貴方の周りで、子供の虫歯で歯医者へ通いっぱなしとボヤく親子がいたとしたら、そういうことなのか…、ニヤリとしてやってください。

 日々、歯科臨床をやってきて思うに、フッ素塗布の効果よりも、「定期的に歯医者に通う」という効果の方が、虫歯予防や歯周病予防の効果が大きいようです。統計学的に何%の危険率で… っていう科学的根拠は示せませんが、いろんなケースを二十年以上にわたって定点観察した経験上の ことです。

 「定期的に歯科医院に通」っていても、子供のむし歯が防げない、あるいは、常に充填(詰めたりする治療)治療をしなくてはならない子供もいます。原因は、齲蝕(むし歯)コントロールの原則を守れない親子のいい加減さ(意識、知的レベルの低さ)です。しかし、手間とコストがかかる「定期的に歯科医院に通う」ことが十年できれば…、さすがに十年続ければ成果は出ますよ(笑)。
 ただし、歯医者によっては経営上の都合から、意図的に患者への齲蝕予防教育をしないところもあるかもしれません。たくさんの従業員に給料を払うためには、とにかくお金が必要なのです。条件によっては数ヶ月で穴が開く子供の虫歯治療は、美味しい仕事なのです。 今は、(田舎の市群町村の)子供の医療費の自己負担率がゼロか1割と低めになっているので「取り放題」です。詳しい治療明細書兼領収書の発行を渋る歯科医院の都合は、こういうところにもでてきます。


私は歯が良いので、歯医者なんか、子供の頃から行くようなことはない。


 という人がいました。小バカにした態度で。話をすると、「お前も親が金持ちで、金にモノを言わせて、歯医者になたクチだろ?(偏差値の低い私立歯科大出だろ)?」みたいなことを言います。

 大学進学に関しては、経済的な理由で親も渋るので、一度だけのチャンスをもらいました。「浪人するくらいなら、働け!」って言われるのって、田舎じゃ珍しくない。給料までもらえて勉強できる防衛医大は体力、知力とも全く足りずダメ、地元の国立大学医学部を目指していたものの、共通一次試験で目標の九割二分以上の正答率が出ずに、絶対安全圏の歯学部にランクダウンという経緯もありましたから、「そりゃ、ごめんなさいね」ってかんじで、あしらっておきました。

 その人、私を覚えてくれていたみたいで、十年くらいして、うちにやってきました。「歯ぐきが腫れて噛めなくなった」ということでした。さっそく、パントモ(断層撮影)を撮ってみると、歯石が酷くついていて、重度の歯周病でした。まー、良くあるケースです。

 「歯医者に何十年も行ったことがない」という人の、数%は、口の中に問題をかかえたまま気がつかないか、放置していますね。今年になって、うちでも、今年で、数人、そういう患者が来て、現在も治療中です。なぜか、二十代後半の女性に多いんです。

 男性は? というと、四十代になって、まともな歯があと数本になってから来院して、「すぐ噛めるように治せ」って決まったように言います。歯医者に通ったことがないので、数回の通院で噛めるように治せると思っているからですよ。

 というかんじで、エッセイ風なエントリーも、たまに書いていきます。